(4)春日神社測線

春日神社測線は春日神社東側の市道上に設けられた。途中何個所か交差点があり、受振器の設置できない点があった。特に測線距離200mで交差する道路は交通量も多く、探査の妨げとなった。

図5−1−24に相互相関処理後のオリジナル波形例を起振点70m毎に示す。本測線におけるバイブレータの発振スイープは、20〜160Hzとした。図5−1−25にフィルター処理後波形例を示す。バンドパスフィルターでは25〜90Hzを通過周波数帯とし、AGCのオペレータ長は500msとした。図5−1−26にデコンボリューションパラメータテスト(オペレータ長を10,25,100msと変更)結果例、図5−1−27にはデコンボリューション処理結果例を示す。デコンボリューションのオペレータ長は10msとした。図5−1−25のスタック前の波形例を観察すると、起振位置0mでは往復走時を300msとする反射波が極めて顕著である。起振点が70,140mと進むにしたがって、この顕著な反射波の走時も早くなり、起振点280mの記録での顕著な反射波の往復走時は200ms程度となっている。これらは同一の反射面からの反射波であると推定できる。この顕著な反射波より上位には多数の反射波を認めることができる。一方、顕著な反射波より下位に見られる反射波は、重複反射波であると考えられる。その理由の1つは、下位の反射波の往復走時が、顕著な反射波の往復走時のおよそ2倍となっていることであり、もう1つは反射走時から読み取れる速度が、みかけ深度が深いにもかかわらず小さいことである。

図5−1−28には速度解析結果より求めた区間速度分布を示す。図5−1−29には速度解析結果よりCDP重合を行った結果である時間断面を示す。時間断面を観察すると、測線全体で北に緩く傾斜する反射波が顕著である。この反射波の往復走時は、北側で300ms程度、南側で200msとなっている。この反射波より上位の反射波はより高い角度で北に傾斜しており、個々の波群としては顕著であるが、連続性は良くない。顕著な反射波よりも上位の層をさらに上部と下部とで分けて速度テーブルに着目すると、上部よりも下部のほうがその速度が低い傾向にあることがわかる。これは地層の分布状況を反映しているものと考えられる。図5−1−30には、マイグレーション後時間断面を示す。マイグレーションには、速度解析で求めた速度テーブルを用いた。マイグレーション処理後の結果においては、断面の両端などに実際の反射面の分布を反映していないひずみが生じているため、この測線の解釈には主にマイグレーション処理を施していない時間断面を用いた。

図5−1−31には、時間断面に深度変換を施した結果(深度断面)を示す。深度変換には、図5−1−28に示した速度テーブルを平滑化して用いた。