6−5 単位変位量(活動1回当たりのずれの量)

群列ボーリング調査によると,Xa層の落差は約2.5m以上である(図18).また,X'層の落差は約 3.5mである(図18).ただし,X'層の落差は,同層がY層やZ層の上面を地形なりに覆う堆積物である可能性や,Kz−9孔(断層下盤側のボーリング孔とともにX'層の落差を求めている)が変形帯の範囲内に入っている可能性があり誤差は大きい.一方,Xa層の落差は,@同層が撓曲崖の崖頂部に近いKz−4孔で急傾斜(38゚)し変形しているが,西側のKz−14孔に連続していないこと,A断層下盤側のX層の層厚が1.0〜1.5mであるのに対し,断層上盤側(Kz−14孔)の同層の層厚は0.45mとなっていることから,埋没している撓曲崖はW層堆積以前に少なくとも0.5m下方に侵食されており,Xa層の落差は約3.0m(2.5+0.5)より大きいと推定される.このXa層及び X'層の落差は活動1回分であるので,同断層の単位変位量の鉛直成分は,3.0〜3.5m程度と推定される.この単位変位量の鉛直成分と,群列ボーリング調査で確認された断層面の傾斜角(45゚)から,横ずれがないとした場合の加治川断層のネットスリップ(真の変位量)は4〜5m程度となる.

五十公野丘陵東縁断層,櫛形山地西方断層,櫛形山地東方断層群については,単位変位量に関する資料は得られなかった.