(5)地質状況

・地層区分について

群列ボーリングの結果,貝塚地区には鍬江層相当とみられるシルト岩,シルト岩上位の風化した礫層(下小中山層相当),低位段丘相当の礫層,約8,000年前以降の地層が認められる.約8,000年前以降の地層は,コアの岩相を詳細に観察し,連続性のよい特徴的なシルト層などを鍵層として対比を行った.この対比を基に約8,000年前以降の地層をT〜X層に区分した.ボーリングコア間で層相変化が認められることと,一部の鍵層の分布が限られていることから,この地層区分はトレンチ調査結果を基に検討を加える必要がある.

表3−2−2−4に層序表,図3−2−2−1及び付図1に地質断面図を示す.地質断面図では,地層境界等の区分と形状が未確定であるので,対比可能な地層境界等についてのみ示した.

・堆積構造

KZ−6孔以東のW層最下部には連続性のよい腐植質のシルト層が分布している.このシルト層とX層は,その分布形状から,群列ボーリングの測線に沿った見かけの傾斜はほぼ水平であると判断される.これに対し,W層中部に分布する砂層はKZ−6孔で層厚が最も厚く東方で薄くなり,下面が水平で上面が東に傾く楔状の断面形態を示す.また,W層上部のシルト層の傾きは,この砂層上面の傾きにほぼ等しい.この砂層の上面とW層上部のシルト層は,その分布形態から堆積時に傾いていたものと判断される.これに対し,T〜U層中のシルト層は,断層直上を除いてほぼ水平に近い.

・断層・変形構造

KZ−9およびKZ−14に鍬江層と低位段丘堆積物を切り,それらの地層の境界をなす断層が確認された.この断層の傾斜角は約45゚である.また,KZ−9およびKZ−14に分布する鍬江層は,角礫化した断層岩として認められる.この断層岩中に複数の断層面が確認できる.また,V層〜X層がKZ−4〜KZ−10間で撓んでいるような分布を示している.この撓みの区間は上記断層の上方延長にあたる.地層面の傾斜角を計測したところ,KZ−4〜KZ−13で地層の急斜が認められる.地層の急斜は,W層が30〜50゚でU〜V層が20〜25゚である.