(2)下小中山No. 1地点

下小中山No. 1地点のピット調査は,加治川断層に相当するリニアメントの西側に分布するKj − 5面の形成年代を把握することを目的として,図3−3−1に示す位置で行った.

ピット掘削調査の結果によれば,本地点の地質は,深度1.76mを境として2層に区分される.深度1.76m以深では,埋れ木を含む腐植質シルトからなり,深度1.76m以浅は,下部の細礫を含む細粒砂層と上部の礫混じりシルトからなる(図3−3−4).

上位の砂・シルト層を対象として火山灰分析を,下位の腐植質シルトを対象として14C年代測定を実施した.火山灰分析の結果によれば,上部のシルト層(下小中山1−8〜9)にはAT(姶良Tn火山灰:24,000〜25,000年前)を起源とする火山ガラスが混在しており,最上部ではその含有量がわずかに増加している(図3−3−5).また,最下部の腐植質シルトを対象とした14C年代測定結果によれば,35,680±1,210 y BPの値が得られた.Kj − 5面を構成する堆積物中にATが混在すること,下位の堆積物の14C年代が約35,000年前を示すことから,Kj − 5面は,AT降灰期である24,000〜25,000年前に形成されたものと判断される.