(2)地質構造

調査地域に分布する地層は,上述したように中・古生代の堆積岩類及び白亜紀の花崗岩類を基盤とし,新第三系〜第四系からなる.新第三系及び第四系中には,釜杭層と下関層との間,内須川層と鍬江層との間に不整合が認められるほか,鍬江層より上位の地層はいずれも不整合関係で接している.

中・古生層起源の堆積岩類は,調査地域南西方にわずかに分布するのみで,地質構造は不明である.釜杭層は,調査地域全域にわたって北東−南西方向に細長く帯状に分布し,おおむね北東−南西走向で西に15〜35゚前後傾斜している.下関層〜内須川層は,櫛形山脈西側の丘陵部に帯状に分布し,おおむね北東−南西走向で西に10〜40゚前後傾斜している.鍬江層は,櫛形山脈西側の丘陵部に上位の下小中山層及び梨木層に覆われて分布するほか,胎内川上流域の丘陵部に分布する.櫛形山脈西側に分布する鍬江層は,おおむね北北東−南南西走向で西に20゚前後傾斜している.下小中山層及び梨木層は,櫛形山脈西側の丘陵部に分布し,おおむね北北東−南南西走向で西に5〜15゚前後傾斜している.

調査地域には,断層露頭,地層分布や地層の走向・傾斜などからいくつかに断層が推定あるいは確認される.断層露頭のスケッチ及び露頭写真を巻末資料に示す.

調査地域南西部の加治川村箱岩付近では,花崗閃緑岩と中・古生層の堆積岩類あるいは釜杭層と中・古生層を境する東−西走向,南傾斜の断層が確認され,加治川村小国谷付近では,下関層及び内須川層が繰り返し分布することから,北東−南西方向,東落ちの断層が推定される.これらの断層付近には,リニアメントは判読されない.

櫛形山脈北西部及び南西部の山地と丘陵の境界付近には,リニアメントに一致する断層露頭が確認される.これらの断層については次項で詳述する.