4−7 まとめおよび今後の検討課題

月岡断層の活動性についてまとめると表4−7−1のとおりである。

上記したように、月岡断層帯は、最新活動時期が4,630±70−4,750±70 y BP〜5,670±40−5,870±50 y BPであり、Mw=7.0〜7.4程度の地震が想定されることが判明した。断層の活動間隔(地震の発生間隔)については、平均変位速度と単位変位量の関係から概略の値を求めることができるが、過去に活動した複数回の断層活動時期を特定することができず、詳細な断層の活動間隔を特定するに至らなかった。過去25,000年間では、2〜4回の断層活動があったものと判断される。

平成8年度・平成9年度の2年間にわたって文献調査、空中写真判読、地形・地質調査、物理探査、ボーリング調査、トレンチ調査などを実施し、月岡断層帯の位置、活動性等について把握し、月岡断層帯の活動性評価を行った。月岡断層帯の位置、最新活動時期や想定される地震規模については把握することができたが、活動間隔については概略検討できたのみである。また、月岡断層帯の主断層が未確認であることなど幾つかの検討課題が残されている。

今後の検討課題についてまとめると、以下のようになる。

1.月岡断層帯の活動性評価を行う上で残された検討課題は、詳しい活動間隔の特定である。具体的には、複数回の活動時期を特定することであるが、断層の活動間隔の等間隔性には数10%の誤差があると言われていることや過去数万年間の堆積物が連続しているところがほとんどないことを考慮すると、今回以上の成果はなかなか期待できない。これまでの調査で主断層が直接確認されていないことを考慮して、今後、トレンチ調査を追加実施し、主断層を確認すると共に、活動間隔についてもさらに検討することが望ましい。

2. 月岡断層帯北方延長には、櫛形山脈断層帯が分布する。この2つの断層帯は一連の活断層である可能性も否定できない。今後、櫛形山脈断層帯についても月岡断層帯と同様な調査を行い、両断層帯の関係を検討する必要がある。

3.今回の調査では、月岡断層から村松断層に至る中間の地点に、変位地形と判断されるリニアメントが判読されたが、断層の存在については未解決のままである。村松断層と月岡断層の方向、センス、平均変位速度が概ね一致すること、単位変位量から求まる断層の長さを考慮すると、両断層は1つのセグメントと判断されるが、月岡断層と村松断層の中間地点に当たる中川地区で追加ボーリングを実施し、両断層が1つのセグメントであることをより確実なものにする調査が望まれる。