1−1 調査対象活断層の概要

今回調査対象とした活断層は、地震調査研究推進本部が効率的に活断層調査を実施することを目的として選定した「基盤的調査観測の対象活断層、No. 26」の月岡断層帯で ある(図1−1−1)。

月岡断層帯は、図1−1−2に示すように、越後平野東方の丘陵と山地を境する活断層(月岡断層、村松断層)で、丘陵と山地の間には凹地状の低地がNNE−SSW方向に連続 している。「新編 日本の活断層」(活断層研究会、1991)によれば、月岡断層は長さ20km、確実度I、活動度B級の北西上がりの左横ずれ断層とされ、村松断層は長さ10km、確実度I、活動度B級の北西上がりの左横ずれ断層とされているが、変位基準面の形成年 代が不明で、平均変位速度は求まっていない。また、断層センスに関しては、主に変動 地形の検討から北西上がりの左横ずれ断層とされる(渡辺・宇根、1985)が、断層露頭 や地層の分布状況による地質学的検討からは東側傾斜の正断層で、左横ずれは考えにくいとされ(笹神団体研究グループ、1982等)、断層センスに関してまったく反対の見解が示されている。

月岡断層帯の調査にあたっては、上記したように活断層の活動性等を評価する上で未解明な点が多いため、2年間にわたって調査を実施することとし、平成8年度では、文献調査、空中写真判読、地表踏査、ボーリング調査および地震反射法弾性波探査を実施し、本年度はトレンチ調査、ボーリング調査等を実施するとともに、総合解析を実施し、活断層の活動性評価を行った。