(3)反射(深度)断面図及び解析結果

図2−2−27図2−2−28に反射(時間)断面図を示す。

反射(時間)断面図の横軸は水平距離(CDP距離)、縦軸は標高である。深度変換は既往データ(PS検層、VSP探査結果等の速度情報)が無いため、図2−2−24に示した速度解析により求められた速度(速度分布)を使用した。

反射面@ CDP距離 0〜 750m付近 標高 0〜 −20m付近(GL −25〜 −35m付近)

     CDP距離1080〜1890m付近 標高 0〜 −15m付近(GL −25〜 −40m付近)

反射面A CDP距離 0〜 775m付近 標高 −50〜−130m付近(GL −70〜−150m付近)

     CDP距離1340〜2140m付近 標高 0〜 −25m付近(GL −45〜 −55m付近)

反射面B CDP距離 0〜 830m付近 標高 0〜−320m付近(GL −25〜−340m付近)

     CDP距離1260〜1640m付近 標高 −25〜−100m付近(GL −60〜−130m付近)

反射面C CDP距離 0〜1220m付近 標高−200〜−420m付近(GL−230〜−440m付近)

     CDP距離1140〜2430m付近 標高 25〜−330m付近(GL −35〜−355m付近)

ボーリング調査等の既往データ及び地表踏査結果をもとに、各反射面を検討すると以下のようになる。

・反射面@は地形面構成層の底面(沖積層あるいは沖積層+中〜後期洪積層と笹神〜山寺層の境界)に相当すると考える。

・反射面Aは笹神〜山寺層の底面(笹神〜山寺層と安野川層(西山層)の境界)に相当すると考える。

・反射面Bは安野川層(西山層)の底面(安野川層(西山層)と魚岩〜山ノ神層の境界)に相当すると考えられ、上下の地層と不整合境界をなしているのが読みとれる。特にCDP距離1300〜1600m付近にかけては明瞭である。

・反射面Cは五頭花崗岩の上面(魚岩〜山ノ神層と五頭花崗岩との境界)と考えられる。

・反射面Cを境して、反射波パターンが異なり、明瞭に不整合境界をなしているのが読みとれる。

反射法地震探査結果から地質構造を推定すると以下のようになる。

沖積層は層厚10m程度でほぼフラットに堆積するがCDP距離800〜1200m付近は薄層となる傾向にある。但し、層厚等の詳細については探査仕様が比較的深い深度を対象にしたものになっているため、実際とはやや異なる可能性もある。それらを詰めるためには、S波を使った極浅層反射法探査、ボーリング等が必要である。

笹神〜山寺層は探査起点〜CDP距離800m付近で層厚50〜100m程度であるのに対し、CDP距離1200〜2000m付近では層厚20m程度と測線の西側で厚い傾向にある。CDP距離800〜1200m付近では欠如していると考えられ、地表踏査でも、この付近には笹神〜山寺層は分布しないのが確認されている。

安野川層(西山層)は探査起点〜CDP距離750m付近、CDP距離1250〜1640m付近に分布すると考えられ、探査起点では層厚200m程度で堆積しCDP距離750m付近にむかって急激に薄くなる。CDP距離1250〜1640m付近についても同様で西から東に向かって薄くなるが層厚は最大75m程度と考える。傾斜は最大20゜前後と考えるが、探査起点〜CDP距離750m付近の西側に比べ、CDP距離1250〜1640m付近の東側の方が傾斜は緩い傾向にある。

魚岩〜山ノ神層は探査測線のほぼ全域で分布すると考えられ、層厚も最大260m程度と五頭花崗岩より上の堆積層としては、本探査域では一番厚く堆積している。傾斜は最大30゜前後と判断されるが、想定される断層を境に西側に比べ東側でその傾斜は大きい傾向にある。

五頭花崗岩層は本探査で得られた最下層に相当する。測線終点(出湯温泉)付近では地表から分布し、測線起点付近では深度400m付近から下位に分布することから本層は、東から西に向かって傾斜している。新第三系との不整合境界は、想定される断層の西側では10〜15゜程度、東側では20〜25゜程度と推定されるが、CDP距離1700m付近を境に東側では10〜15゜程度とややその傾斜は緩くなる傾向にある。

尚、反射面から判断して五頭花崗岩層はかなりの層厚を持つことが予想されるが詳細については本探査では不明である。

断層の位置、落差については、反射法地震探査結果から判断して地表面付近ではCDP距離1325m付近(道路距離1370m付近)に存在するものと考えられ、リニアメントよりやや東側に位置する。落差は五頭花崗岩の分布状況から判断して120〜130m程度と見積もられ、傾斜角は表層付近で50゜程度、深部で60゜程度であり、西側隆起の逆断層と考えられる。