3−2 まとめ

東海層群と海部・弥富層の関係から確認される天白河口断層は、名古屋市緑区鳴海町付近から名古屋市港区潮見町付近に東北東−西南西方向に延びる、長さ約7.5km以上の高角の正断層である。西端は、既存ボーリングにおいて基盤が確認できなくなり不明である。

東海層群中に認められる明瞭な反射面の対比によると最大落差は新宝町で約110m、潮見町で約150mで、変位には累積性が認められた。

天白河口断層は、海部・弥富層および第二礫層の形成時期に活動した可能性を残すが、少なくとも熱田層形成開始以降は活動していない。従って、最終活動時期は熱田層形成開始以前であり、活動が停止してから約15〜16万年以上が経過していることになる。

以上から、天白河口断層はすでに活動を終了していると考えられる。再活動する可能性は極めて低く、近年の活断層の概念、「活断層は第四紀後期あるいは最近数十万年間に繰り返し活動した断層」に従えば活断層とは言えず、特に防災上注意すべき断層ではない。

この報告書は、再生紙(古紙配合率70%、白色度70%)を使用しています