3−1−3 平均変位速度の試算(参考)

第三紀鮮新世から第四紀更新世前期に堆積した東海層群中には佐布里火山灰が含まれている。これを基準面として、東海層群形成期の天白河口断層の平均変位速度を算出する。

佐布里火山灰層の形成年代は約350万年前と考えられる。天白河口断層の活動が東海層群の形成期間に終了していたとすると、最終活動時期は約80万年前と仮定できる。新宝町のボーリング孔B−1とB−3の間で生じている佐布里火山灰の高低差は、約29mである。この高低差を天白河口断層の活動期間で割ると

      29m/(350万年−80万年)=0.01m/千年

となる。

また、熱田層下部堆積直前まで活動していたとすると、熱田層下部の堆積開始時期は約15〜16万年前とされているので、最短の値として15万年を用いた場合、

      29m/(350万年−15万年)=0.009m/千年となる。

算出した平均変位速度は、天白河口断層が東海層群形成期だけ活動していた、あるいは第二礫層まで活動していたと仮定した場合の、平均変位速度である。仮に活断層の活動度と比較してみると、C級ということになるが、この値は活断層の平均変位速度を表すものではない。