2−4−2 探査仕様

(1)観測条件

 浅層反射法探査は、現地確認試験を行った上で、以下に示す仕様とした。

測線位置 :名古屋市港区潮見町(9号地)とし、南北方向の測線とした。

測線長 :1測線、2000m

探査深度 :500m以上

起震方法 :ミニバイブレータによるP波起震

起震点間隔 :5m(交通事情により、2地点での起震を実施しなかった)

受振器 :固有周波数27Hz(9個で1組),アレー配置

受振点間隔 :5m(受振点数400点を予定したが、交通事情により388点とした)

記録チャンネル数 :120チャンネル

サンプリング間隔:1.0ミリ秒

記録長 :2.048秒

起震仕様 :バイブレータの起震は、現地確認試験を行った上で、以下に示す仕様とした。

スタック数 ;1〜4回

スイープ長 ;10秒

スイープ周波数;15〜120Hz

展開方式 :off−end及びsplit−spread

CDP重合数 :59以上

使用機器 :表2−4−1

(2)起震器

 ミニバイブ(miniviv)はサーボ機構により制御されるバイブレーター型の起震器であり、10〜550Hzの振動を発生させることができる。スイープ時間内に線形あるいは任意のスイープパターンを設定できる。

名 称:minibiv T−2500 (2tonトラックに積載)

minibiv T−15000(3tonトラックに積載)

製造元:Industrial Vehicles International, INC.,Tulsa, Oklahoma, U.S.A.

(3)現地確認試験(Sweep Test)

 探査仕様を決定するために、次のような現地確認試験を行った。

@周波数の決定

 追加距離750mの測線上(受振器設置155〜745m)において、minivib T−2500を使用して起震した。サンプリング・レートは1msec、相互相関計算(コリレーション)後の最終的な記録長は2,048msecとした。スイープ長を10秒に固定し、スイープ周波数帯域を10〜30、30〜50、50〜80、80〜120、120〜200Hzのそれぞれについて、データを取得した(巻末資料1−@:A)。この結果、スイープ帯域を120〜200Hzとした場合には、ほとんど地下からのシグナルは認められなかった。

 次に、スイープ周波数帯域を10〜150、10〜100、30〜150、20〜120、15〜120Hzとした時のデータを取得した(巻末資料3−@:B)。高周波のデータを取得することも重要であるため、低周波のシグナルを抑制し、高周波の比重を大きくするべきと判断した。従って、スイープ帯域は15〜120Hzとした。

A起震器の比較と決定

決定したスイープ帯域による起震を実施し、minivib T−2500とminivib T−15000の比較検討を行った。この結果、取得された記録は全般にほぼ同じであるが、次のような相違点が認められた。

まず、T−15000はT−2500よりも起震力が大きいため、Far Offsetの初動以前のノイズレベルが小さい(巻末資料3−A)ことが認められた。これらのデータは、同一条件のもとで取得されたデータである。また、T−2500によって得られた反射波は、T−15000による反射波に比べて高周波であった。例えば、初動近傍の浅部からの反射波及び600〜700msec付近に認められる反射波では、T−2500による反射波の方が高周波のシグナルを含み、極浅層部の解析に有効であると判断した。

Bスタック数

 スタック数については、次のように決定した。

 現地は大型車両の交通量が多く、車両の通行によって発生するノイズを避けるため、測定は深夜から早朝にかけて実施した。しかし、交通が完全に途絶えることはあまりなく、最低で5分以上、最高で20分程度の待機をし、ノイズレベルの非常に低い瞬間に測定を行った。これは、比較的低いノイズレベルのもとで多数回スタックを行った記録よりも、ノイズレベルが非常に低くなるまで待機し、少数回のスタックによって得られた記録の方が良好であることが認められたためである。従って、各起震点における垂直重合数(スタック数)は、交通量に応じて1〜4回(巻末資料3−B)とした。