8−2 橘湾西部断層帯のまとめ

今回の調査によって新に存在が明らかになった、橘湾西部に分布する断層群は、雲仙地溝南縁西部断層帯の西方延長とも考えられる。調査の結果、この断層群は、橘湾南部断層群とは変位の向きや活動時期が異なることから、雲仙活断層群とは別の断層と判断し、橘湾西部断層帯として区別した。

@ 断層の位置と形態

橘湾西部断層帯は、長崎半島沖合いから橘湾南部断層群との境界までの、西南西−東北東の走向で、長さ約17.5kmの断層である。本断層は長崎半島の沖合いまで分布するが、西方の長崎半島陸域やさらに西方の海域ヘ延長するかどうかは不明である。変位の向きは相対的に南落ちの断層である。

A 過去の活動

平均変位速度は最大で0.34m/千年でありB級と評価される。最新活動時期は3,800年前以降と考えられる。確実な活動時期は6,700−5,700年前であるが、最新活動時期が不明なため、活動間隔も不明である。1回の活動による変位量としては、0.4〜0.6mという値が得られている。

B 将来の活動

断層の長さから松田の式によって断層帯の活動により発生する地震の規模を算出すると、M6.9程度と推定される。また、その際には、この地震の規模からみて、断層の南側が1m程度(松田の式による算出値は、1.0m)沈降する変位を生じる可能性がある。