7−1 雲仙活断層群の区分

雲仙断層群は、西部の橘湾から島原半島を経て東側の島原湾にかけて、ほぼ東西に分布する多数の断層から構成される断層群であり、全体で一つの地溝(雲仙地溝)を形成している。

陸域の島原半島の西側では、雲仙地溝の北側と南側に古期雲仙火山前期(50〜30万年前)の火山体やそれに伴う火山麓扇状地が分布し、地溝の内側には古期雲仙火山後期(30万〜15万年前)の火山体や噴出物が分布する。これらの地質分布から古期雲仙火山後期の時代には、雲仙地溝がすでに形成されており、噴出物が地溝の外側まで分布しなかったと考えられる。

一方、島原半島の東側では、地溝の内側に、15万年前から現在まで活動が続いている新期雲仙火山の火山体が分布し、それに伴う火山麓扇状地が地溝の外側まで広く分布している。これらの火山麓扇状地はいくつかの扇状地面に区分される。

空中写真判読及び地形・地質調査結果による島原半島陸域の地形区分及び断層位置を図7−1に示す。あわせて図7−2に5万分の1地形図に断層位置を示す。

海域では、橘湾の北部及び中南部に、東西方向の断層が連続的に分布している。一方、島原湾では、陸域の布津断層の東方延長が分布しており、周辺に東西方向の短い断層が分布する。

陸域及び海域を含めた、雲仙活断層群の断層の分布としては、東西方向の雲仙地溝の北部に主として南落ちの断層が分布し、南部に主として北落ちの断層が分布する。

断層の分布、形態、活動の向き及び活動性から、これらの断層を以下の3つに区分した。

地溝北縁の断層群は、ほぼ2列をなして、東西方向に直線的に連続しており雲仙地溝北縁断層帯としてまとめられる。また、地溝南部の断層群の走向は、島原半島中央部で北へ張り出して屈曲し、ここを境に西部(雲仙地溝南縁西部断層帯)と東部(雲仙地溝南縁東部断層帯)に二分される。

松田(1990)は、活断層相互の間隔が5km以内であるかどうかを断層を区分する基準としており、雲仙活断層群の南縁の2つの断層帯は一連の断層ともみなせる。しかしながら、南縁の断層は島原半島中央部において東部と西部で走向が異なることから、地下深部では両者は別の断層であると考えられる。このことから、南縁の断層群を、南縁西部断層帯と南縁東部断層帯に区分した。

また、平成15年度調査で存在が明らかになった橘湾西部の断層群は、平成15〜16年度調査において、変位の向き、活動時期が南縁西部断層帯と異なることが明らかになったので、雲仙活断層群とは別の断層群と考えた。

さらに、島原沖に分布する断層群は、大局的には東西方向の地溝を形成しており、この地溝の北端が、島原半島の雲仙地溝の北端に比べて、北側へずれていることが明らかとなったことから、島原沖の断層群は雲仙活断層群とは別の断層と考えた。