6−1 地震解析の目的

地震活動と活断層は密接な関係があり、微小地震を観測することによって、活断層の位置、大きさを推定することができる場合がある。また、地震の発震機構を解析することにより、地殻応力の分布を明らかにすることができる。

震源分布と活断層群の個々の断層の分布を対比することにより、活断層群のグループ分け(活動のセグメントの推定)や起震断層の下限(断層の幅)に関する情報が得られる可能性がある。さらに、現在の微小地震活動が個々の活断層と対応している場合は、その震源分布から活断層のパラメータ(走向、傾斜方向および傾斜角など)を推定することが可能である。

雲仙活断層群の分布域である島原半島周辺では、九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センター(島原市)による地震観測が行われており、高精度の解析が可能な地域である。

しかしながら、通常観測による震源決定は精度があまり高くないため、今回の調査で詳細が明らかになった雲仙活断層群の個々の断層と微小地震との関係は不明瞭である(図6−1)。

そこで、島原半島周辺に発生した地震の震源を再決定することによって、高精度の震源分布図を作成し、個々の断層と地震との関係を検討した。