5−4−1 断層の分布および変位方向、形態

断層分布の不連続性および変位方向の違いから、湾北部、湾中〜南部、湾西部に大区分される。それぞれ橘湾北部断層群、橘湾南部断層群、橘湾西部断層帯と呼ぶ。

橘湾北部断層群は、諫早市沖から千々石町沖にかけての橘湾北部に分布する東西走向の断層である。断層の変位の向きは北落ちが主体であるが、これらは、雲仙地溝の北縁をなす千々石断層等の南落ちの断層に付随するものと考えられる。橘湾北部断層群は、雲仙地溝北縁断層帯の西端を構成する断層と位置づけられる。

橘湾南部断層群は、陸域の金浜断層や諏訪池断層の西方延長にあたる橘湾南東部の島原半島沖から、橘湾中央〜橘湾北西部にかけて東南東〜西北西に連続する北落ちを主体とする断層群である。金浜断層や諏訪池断層の延長位置にあること、及び北落ちのセンスを示すことから、雲仙地溝南縁西部断層帯を構成する断層と位置づけられる。

橘湾西部断層帯は、橘湾西部に分布する東西走向で南落ちの断層群である。地理的分布からは、橘湾南部断層群の西方延長に当たる。しかし、北落ちを示す橘湾南部断層群とは反対の南落ちのセンスを持つこと、ピストンコアリングによる活動時期の検討から、橘湾南部断層群とは活動パターンが異なることから、橘湾西部断層帯は雲仙活断層群とは別の断層と考えられる。