(2)結果の解析

本海域で、成層構造の確認される部分は、更新統〜完新統の堆積物である可能性が高いと考えられるが、海底地形に侵食面と考えられる凹凸が認められるため、堆積物は現在まで連続堆積していないと考えられる。また島原半島沿岸側の測線において、起伏が顕著で内部構造がほとんど確認できない部分は、眉山崩壊堆積物であると考えられる。

成層構造の確認される部分について、断層の有無と変位の累積について検討し、本調査において11の断層を確認した。松岡・岡村(2000)で報告された断層群のうち、一部についてはその延長が確認された。各断層の総括表を表5−1に示す。

これらを松岡・岡村(2000)で同一探査手法により報告された断層群と併せて解析し、断層分布図(図5−1)を作成した。

隣接する探査側線には延長しないものが多く、延長距離は短いと考えられる。複数の側線において確認された(延長が確認された)断層の走向はいずれもほぼ東西に近い方向を示している。

平成14、15年度調査で実施された橘湾での探査結果とは異なり、連続性の明瞭な音響反射面(鬼界アカホヤ火山灰等)が確認されないことから、探査範囲全域について、特定の層を基準とした変位量の推定・比較を行うことはできなかった。このため顕著な凹凸をもつ反射面の上位にみられる成層構造をなす堆積物群(完新統と推定される)について変位量を推定した値を表5−1に示した。

変位を確認した反射面の時代が異なると考えられるため比較は困難であるが、断層群のうち確認される最大推定変位量は約3.0m(断層No.9)である。また不明瞭ではあるが断層No.4には累積性が認められる。