4−8−1 平均変位速度の再検討

雲仙活断層群の陸域断層については、ボーリングやトレンチ調査により、平均変位速度が明らかになったものもあるが、多くは地形面を変位基準面として、その変位量から平均変位速度を求めている。

島原半島の断層群については、変位基準として、空中写真判読や地形・地質調査に基づいて地形区分した、雲仙火山の溶岩地形や火砕流・土石流堆積物による火山麓扇状地面を採用している。

平成11〜16年度に実施された「雲仙火山:科学掘削による噴火機構とマグマ活動解明のための国際共同研究」(USDP)のプロジェクトにおいて、雲仙火山の形成史の詳細が明らかにされており、宇都他(2003)は雲仙火山の分布域全域にわたる試料の放射性年代測定を実施し、雲仙火山の各溶岩や火山麓扇状地面の年代をまとめた(図4−71)。

平成14、15年度で検討した地形面の変位量から求めた平均変位速度について、宇都他(2003)による新しい年代データに基づいて再検討を行った。

図4−72−1図4−72−2図4−72−3図4−72−4図4−72−5図4−72−6に各断層の変位量測定位置図を示した。変位基準面の年代測定値としては、基本的に図4−71に示された年代値を用いることとし、図4−73−1図4−73−2図4−73−3図4−73−4図4−73−5図4−73−6図4−73−7図4−73−8図4−73−9図4−73−10図4−73−11図4−73−12図4−73−13図4−73−14図4−73−15図4−73−16図4−73−17図4−73−18図4−73−19図4−73−20に変位基準面とその年代値及び、地形断面から求めた変位量を示した。また、金浜断層、布津断層及び深江断層については、地表踏査から作成した地質断面図より変位量を求めた(図4−74図4−75図4−76)。