4−6 雲仙地溝北縁東部

雲仙地溝の北縁は、千々石断層と九千部岳T断層が島原半島西部の千々石町から舞岳付近まで連続する。舞岳付近より東側では、派生断層と考えられる千本木断層、九千部岳U断層が島原市西部まで続いており、これらの断層の東端が、雲仙活断層群の北縁をなす断層群の東端とされている。

千本木断層の東側は、新期雲仙火山普賢岳期(25ka〜)の低位扇状地V面に覆われ、明瞭なリニアメントは判読されない。この低位扇状地V面はその分布から眉山形成(4ka)以降に形成された扇状地と推定される。

また、九千部岳U断層の東方延長部にあたる眉山(4ka)にも、東西方向の谷地形はあるものの、変位地形は判読されない。

一方、3章で既述したように、既往ボーリングによる雲仙火山基盤の深度分布や、測地学データからは、島原市内において、南落ちの断層の存在が推定される。また、1792年の島原地震の際には、島原城下で東西方向の地割れが発生したとの古文書もある。したがって、雲仙地溝の北縁をなす南落ちの断層が、島原市内に伏在している可能性がある。

そこで、平成16年度調査では、雲仙地溝の北縁をなす断層群の東方延長部において、断層の存在の確認及びその活動性に関する情報を得るために、地形・地質調査、反射法地震探査、ボーリング調査及びトレンチ調査を実施した。