3−3−6 雲仙地域のテクトニクス

松本(1979、1993)は、九州中部を東西に横断する地域は、正断層の発達、新第三紀〜第四紀の活発な火山活動、重力の低異常などで特徴付けられることから「別府−島原地溝」を提唱した(図3−18)。調査地域はこの地溝の西端部にあたっている。

多田(1984、1985、1993)は、測地学的観測から九州の地殻歪・水平変位量分布をまとめ、これに基づいて沖縄トラフ北東端として別府・島原地溝を位置づけ、トラフの拡大によって南北方向の引張応力場が生じているとした(図3−19図3−20)。

一方、佃(1992、1993)は、「別府−島原地溝帯」の成因として、地溝が西南日本の中央構造線活断層系の一部を成しているとし、中央構造線の右横ずれによって九州北部の地殻変動を解釈した(図3−21)。このような中央構造線の右横ずれは、フィリピン海プレートの斜め沈み込みをその原因としている(図3−22)。