3−1−1 陸域の活断層

陸域の活断層は、主に第四紀火山の山体の変形から活断層として認定されている。走向は、おおむね東西に近く、一部では北西−南東ないし北東−南西に振れている。個々の断層はあまり長くないが、全体としてみると、陸域だけで島原半島を横断する程度の長さ(約18km)を有している。

陸域の島原半島における活断層に関しては、主として空中写真判読による金子(1973)、千田(1973)、堤(1987)、「九州の活構造」(九州活構造研究会編、1989)、「新編日本の活断層」(活断層研究会編、1991)、国土地理院(1991)および「活断層詳細デジタルマップ」(中田・今泉編、2002)等の文献がある(図3−1図3−2)。

主な活断層には、次のものがある。

図3−0

北部の断層は主に南落ち、南部の断層は主に北落ちであり、全体として地溝状の構造を形成している。

陸域の活断層では、既往文献に示された変位地形の性状からみると、最新の活動は2万年前以後に生じていると判断される。また、鬼界アカホヤ火山灰噴出(7,300年前:町田・新井、2003)以後の地溝内の沈降量は10mオーダーに達しているとする研究もある(松岡他、1990)。

測地学的観測では、明治以降に年間2mm程度の沈降が継続していると推定されている(江頭他、1987)。これが全て活断層の起震性の活動によるものではないにしても、このようなデータは、ここ数千年間の間にも陸域の断層の活動があったことを示唆している。

しかしながら、本地域においては露頭観察にもとづく活動履歴の検討はほとんどなされていない。