6−2−1 南縁断層帯南部

南縁断層帯の南部は雲仙地溝の南縁をなすグループで、島原半島中央部で北へ屈曲し、西部では北東−南西走向、東部では北西−南東走向の南に凸の弧状を示す。

陸域では島原半島西部に位置する金浜断層、諏訪池断層は北落ちを示し、塔ノ坂断層は南落ちを示す。これらの断層の活動性に関する情報は得られていないが、リニアメントの明瞭さからは完新世に活発な活動は考えにくい。

橘湾では、小浜〜金浜沖から橘湾中央付近を経て長崎市牧島沖に至る西北西−東南東に連続する断層群(橘湾中部断層群)と、南串山町の西方海上から橘湾南部を西に向かって橘湾西部の長崎半島茂木沖に連続する断層群(橘湾南部断層群)がある。

橘湾中央断層(F−5断層)は位置的には地溝中央にあり、南縁断層帯北部に属するとも考えられるが、活動パターンから橘湾中部断層群に含まれる可能性が高い。

陸域断層との地理的位置関係からは、橘湾中部断層群は金浜断層の延長部、橘湾南部断層群は諏訪池断層の延長部とも考えられる。

橘湾南部断層群では既往音波探査結果から、南串山沖から西に向かってK−Ah層準の変位量が小さくなっていき、橘湾西部の茂木沖で再び変位量が大きくなることから、橘湾西部の断層群は雲仙活断層群とは別の断層である可能性がある。

断層の活動性に関しては橘湾中部断層群ではK−Ah以降2〜3回の活動が確認された。

陸域の島原半島東部では高岩山断層、深江断層、布津断層、柳原断層、大苑断層が分布し、すべて北落ちの断層である。このうち、布津断層では完新世の活動が確認された。深江断層や柳原断層でも完新世の活動の可能性がある。

島原湾においては、既往音波探査結果により、布津断層と深江断層の延長と考えられる海底断層が知られているが、活動性に関しては不明確である。

以下に、南縁断層群の調査結果を西から東に向かって地域毎に示す(表6−3)。