(1)千々石断層

舞岳西方では千々石断層リニアメントは東西走向で古期雲仙火山の溶岩を南落ちに変位させている。

リニアメント位置の国道389号線工事法面に古期雲仙の自破砕溶岩・火砕流堆積物と崖錐堆積物・ローム層が接する露頭を確認した。両者の境界は凹凸があるもののほぼ垂直で、位置及び走向がリニアメントとほぼ一致することから千々石断層の断層露頭と考えられる。

断層落ち側の崖錐堆積物上に堆積したローム層の下部にAT火山灰(26−29ka)が混入している。またローム層上部には非常に新しい時代を示す(AD1427−1484)炭化木が挟在しており、15世紀以降にこの断層が活動したか、あるいは周辺で地震があった可能性を示すものと考えられる。

断層上がり側の火砕流堆積物は薄い表土以外に被覆層がなく、変位量や活動履歴の詳細は不明である。