5−3−2 橘湾中央断層:F−5断層

F−5断層は橘湾北部断層と橘湾中部断層のほぼ中間の橘湾中央にある長さ約4.5kmの北落ち断層である。F−5断層では2回のイベントが認定された。各イベント層準の年代と変位量を以下に示す。

イベントI :835−674ybpから3245−3026ybp :変位量40cm

イベントII :3873−3650ybpから5178−4964ybp :変位量65cm

活動間隔はイベント期間に幅があるためはっきりしないが、400年から4500年と推定される。

K−Ah層準の変位量は約1.1mで平均変位速度は0.14m/kyである。

本断層は橘湾の中央に位置し、周辺に連続する断層が殆ど認められないため、他の断層との関係が不明であった。今回実施したピストンコアによる断層のイベントの解析結果からは、K−Ah層準にイベントが認められる橘湾北部断層群のF−4断層とは活動様式を異にすることが明らかとなった。一方、以下に述べる橘湾東方金浜沖のF−3断層とは、イベントの時期、イベント間隔、1回の変位量及び平均変位速度がほぼ同じ値を示す。

このことから、F−5断層は金浜沖から牧島沖に連続する橘湾中部断層に含まれる可能性が高いと考えられる。