4−7−3 金浜断層の検討

以上に示した断層露頭の情報から、地質断層としての金浜断層は、東から西に向かって流れる金浜川の中流では空中写真判読によるリニアメントとほぼ一致する(露頭@、A)が、金浜川上流部では金浜川の流路からはずれ、東西方向の走向をそのまま保って延長する(露頭D付近)。

露頭Bで確認された派生断層は金浜断層北側では確認出来ない。派生断層の方向としては金浜川上流部の東北東−西南西のリニアメントとほぼ一致するが、断層露頭付近ではリニアメントは判読されない。

地質断層としての金浜断層の東半部や派生断層がリニアメントとして認定できないことから、金浜断層では大きな変位を伴うような最近の活動は考えにくい。

一方、東北東から西南西に流れる金浜川上流部においては、北落ちの急崖が連続するリニアメントが認められる。このリニアメント位置に、走向はリニアメントと一致するものの、リニアメントの北落ちのセンスと逆センスを示す南傾斜の断層が存在することが明らかとなった。リニアメントが北落ちのセンスを示すことからこれらの南傾斜の断層が逆断層である可能性もある。しかし、変位が確認された露頭Eでは南落ちの変位が確認されている。したがって、露頭EからGで確認された南傾斜の断層は南落ちの正断層と考えられる。この断層の活動時期に関しての情報は得られていない。

露頭E~Gにおける南傾斜の断層と、北落ちセンスの金浜断層との関係も不明である。リニアメントが明瞭であることから金浜断層よりも新しい活動である可能性もある。或いは金浜沖の海域で確認されているような地溝地塁を形成するような金浜断層に平行する断層の可能性もあるが、それを示唆するような北落ちの断層露頭は確認されない。

金浜沖の海域で確認されたアカホヤ火山灰降下以降に最大約5mの変位を示す断層群との関係は、少なくとも金浜断層本体では確認出来なかった。