4−7−2 地表踏査結果

地表踏査の結果に基づき、金浜川周辺の詳細な地質図・地質断面図を作成した。図4−7−2に地質図を、図4−7−3−1図4−7−3−2に地質断面図を示す。

金浜川周辺の地質は下位に更新世口之津層群の玄武岩、輝石安山岩および同質の凝灰角礫岩が金浜川中流域の南岸斜面に分布する。

口之津層群を不整合に覆って古期雲仙火山噴出物の火砕流堆積物及び土石流堆積物が金浜側の南北両岸に広く分布する。

口之津層群の輝石安山岩類とは角閃石を含むことから明瞭に区別されるが、古期雲仙火山の前期と後期については岩相的には区別できない。

古期雲仙火山の噴出物は、軽石の有無と固結度から3枚の火砕流堆積物(pf1、pf2、pf3)に分けられ、土石流堆積物も固結度から2枚(df1、df2)に分けられる。固結度の低いものが上位に分布する。

古期雲仙火山噴出物の下部の軽石を含む火砕流堆積物(pf1)と軽石を含まない火砕流堆積物(Pf2)及びこれらの間の土石流堆積物(df1)は固結している。一方、古期雲仙火山噴出物の上部に分布する軽石を含む火砕流堆積物(pf3)や土石流堆積物(df2)は固結度が低い。こうした固結度の違いが古期雲仙火山の前期と後期の差を示すかどうかは不明である。固結度の低い火砕流(pf3)は金浜川(金浜断層)の南北両側に広く分布している。

金浜川の北側では、古期雲仙火山の火砕流堆積物や土石流堆積物の上位に、古期雲仙火山後期の高岳火山や衣笠山火山の角閃石安山岩及び同質凝灰角礫岩が分布している。これらの頂上は、金浜川の南側の火山麓扇状地面よりも標高が高い。

以上の層序及び各地層の分布からは、金浜川(金浜断層)は口之津層群の分布の北限を規制しているが、古期雲仙火山の噴出物に関しては明確な分布境界とはなっていない。

地表踏査により確認された金浜断層およびその他の断層露頭について以下に示す。各断層露頭の位置は図4−7−2の地質図に、各露頭の写真(スケッチ)を図4−7−4−1図4−7−4−2図4−7−5−1図4−7−5−2に示す。