(2)深江断層

深江断層は断層露頭が確認されたことから、断層の存在は確実である。

断層位置については陸域の海岸付近でリニアメント位置のやや北側に伏在する可能性がある。

トレンチ調査やボーリング調査の結果では活動性に関する情報は得られなかった。

地質断面図から、湯河内火砕流堆積物や俵石岩屑なだれ堆積物を基準面として深江断層の変位量を求めた。

既往のボーリング資料によれば雲仙火山の基盤深度は布津断層よりも深江断層の位置で大きく変位していると推定される(太田、1987)。したがって、最近の活動性は不明だが、断層の総変位量は布津断層よりも深江断層の方が大きいと考えられる。

この断層の総変位量が大きいことが、断層の活動性に関する情報が見え難くなっている原因となっている可能性もある。

海岸部において、リニアメント位置の前面(北側)に断層が伏在している可能性も考えられるが、そうした場合、沖積面には変位地形がなく、完新世において数m以上の大きな変位を生じるような活動が無かった可能性もある。

こうした状況から、深江断層の位置を特定し、その活動性を検討するための調査を行うためには、手法も含めて検討する必要がある。