4−3−5 今後の課題

トレンチで認められた北落ちの小断層群の存在は、千々石断層南分枝の派生断層が南落ちの断層であることから、断層本体がトレンチの北側に存在する可能性を示唆しており、オーガーボーリング結果と調和的である。

しかし、トレンチやボーリングで確認されたこの断層落ち側には、AT火山灰直下の黒ボクより上位の地層が堆積しているのみで、その層厚は2.5m程度に過ぎない。

一方、空中写真判読結果による千々石断層南分枝リニアメントは東西方向の走向であり、この断層と斜交する。南分枝の位置も断層露頭より南側の谷の軸部を通る。地形面の変位量から求めた南分枝の変位量も約19mと算定されており、林道法面で確認された派生断層とは走向・変位量が異なる。

千々石断層南分枝の断層は林道における断層露頭よりも南の谷の軸部に存在する可能性がある。これを確認するためには、谷の南側においてボーリングを実施し舞岳の火砕岩の上位の地層の層序を確認する必要がある。