(2)トレンチB

トレンチBの法面スケッチを図4−6−7−1図4−6−7−2に法面の写真を図4−6−8−1図4−6−8−2に示す。

結果としては、トレンチBの法面でも、トレンチAと基本的に同じ層序、構造が確認された。

舞岳の風化火砕岩の上位には、下位より黒ボク、AT火山灰、原口町火砕流堆積物が堆積しており、トレンチAと同様にほぼ東西の走向の北落ちの小断層で変位している。

トレンチBでは礫石原火砕流は認定できず、湯江川火砕流堆積物とともに含礫ローム層となっている。含礫ローム層の下部は、下位の原口町火砕流以下を変位させる小断層の割れ目に落ち込んでいるが、含礫ローム層の中には割れ目は連続せず、上面にも変位は認められない。

含礫ローム層を覆う風化ローム層の上位には、トレンチ北端のみに、尾根斜面の上部から移動してきたと考えられる黄褐色の崩壊砂礫が堆積している。この砂礫層中にはAT火山灰やK−Ah火山灰の火山ガラスの混入が認められた。さらにこの砂礫層を覆う表土の最下部の炭質物の14C年代は670−520 cal ybpと新しい年代を示した。

以上に示したように、トレンチBにおいても北落ちの変位を示す小断層は存在するものの断層本体は確認できなかった。