(3)唐比低地の堆積速度

唐比低地における平成14年度、平成15年度調査で実施したボーリングにおける年代測定試料の採取深度と年代測定結果を図4−2−13に示す。

図4−2−13に示される唐比低地の各ボーリング地点の堆積速度は、国道を挟んで2つのグループに分かれる。ただし、No.13孔は例外で、堆積速度が両グループの中間を示す。

国道の北側では、年代測定値が少ないボーリング孔があるが、距離的にも近いことから4孔の堆積速度のグラフはほぼ一致する。

一方、国道より南側では、距離的に離れた平成14年度に実施したNo.1、No.2の堆積速度の傾向と、No.11の堆積速度のグラフがほぼ重なっている。このことは少なくともこれらの3地点は同じ構造ブロックにあることを示している。

以上に示した堆積速度のグラフの傾向から、国道付近に何らかの構造運動の境界が存在すると考えられる。

No.12地点で示されたように縄文海進最盛期以降における沈降が殆どなかったと考えられる国道より北側では、沖積層上部の年代測定値が少ないので不確かではあるが、堆積速度は縄文海進以降やや遅くなっているように見える。

一方、国道より南側の唐比低地では、4500年前以降に堆積速度の低下が見られる。この年代はNo.11で示された縄文海進後の陸域環境に再び海が進入する時代に当っており、沈降運動の時期を示している可能性もある。