(2)地質情報に基づく変位量

深江断層・布津断層および金浜断層の変位量に関しては、地表踏査による地質断面図において、断層の両側の地層の変位量から、断層の変位量を算定した。金浜断層、深江断層及び布津断層の変位量を算定した地質断面図を図4−12−4−1図4−12−4−2図4−12−5−1図4−12−5−2にそれぞれ示す。また、変位量算定の根拠を表4−12−1表4−12−2−1表4−12−2−2に示す。

深江断層・布津断層では湯河内火砕流堆積物の各ユニット及び俵石岩屑なだれ堆積物の下底面を基準面とした。金浜断層では古期雲仙火山の火砕流堆積物の下底面を基準とした。

また、本調査で実施したボーリング調査の結果、千々石断層西端部(唐比低地)及び布津断層において、断層運動の結果と推定される沈降が確認された。

唐比低地におけるボーリングでは、縄文海進時の汀線付近の地層が沈降し、また不確かながらstage5eの海成層も沈降していると推定される。一方、布津断層では同じく縄文海進における汀線付近の地層が沈降している。これらも断層変位量として評価した。

千々石断層東部南分枝(舞岳)におけるトレンチ調査において、派生断層が舞岳溶岩を約2.5m変位させていると推定された。この変位は千々石断層東部南分枝の断層本体によるものではないため、千々石断層南分枝の変位量の参考値としておく。

この他の断層露頭ではAT火山灰やK−Ah火山灰降下後に断層が活動したと推定されるものの、断層の変位量を示す情報は得られていない。