(3)花粉分析

分析の結果、各試料からは花粉化石が僅かしか産出せず、古気候の推定には至らなかった。以下に試錐毎に分析結果を示す。

@ F3試錐

花粉分析の結果を表4−11−3−8に示す。表には同定した花粉・胞子化石の個体数で示した。分析した結果、何れの試料においても分析後に得られる化石を含む残渣が非常に少ない。このため、プレパラートは得られた全試料を用いた。検鏡の結果、花粉化石を産出した試料は深度21.60mと深度27.10mの2検体であった。しかし、両試料共に花粉化石の産出が非常に少ない。深度21.60m試料ではマツ属、スギ属、エゴノキ属、イネ科および単条溝型胞子が僅かに検出された。深度27.10m試料ではモミ属(破片)、スギ属、クルミ属、ヒカゲノカズラ属、単条溝型胞子が僅かに検出された。このように化石を十分に同定・計数することができなかったので、古環境・時代などに関する解析は困難である。残りの深度22.30、26.00、26.50mの3検体は花粉化石を全く産出しなかった。したがって、古環境・時代などに関する解析は困難である。

A F5試錐

花粉分析の結果を表4−11−3−9に示す。表には同定した花粉・胞子化石の個体数で示した。分析した結果、何れの試料においても分析後に得られる化石を含む残渣が非常に少ない。このため、プレパラートは得られた全試料を用いた。検鏡の結果、花粉化石を産出した試料は深度17.30m、17.70m、24.45mの3検体であり、残りの5検体(深度17.10m、17.50m、17.85m、24.70m、24.85m)からは化石を全く検出できなかった。花粉化石の検出された3試料は、共に花粉化石の産出が非常に少ない。検出された化石は、深度17.30m試料ではコナラ亜属、イネ科と単条溝型胞子、深度17.70m試料ではスギ属、アカガシ亜属、エノキ属−ムクノキ属、イネ科とヨモギ属、深度24.45m試料ではモミ属(破片)、マツ属、スギ属、クルミ属と単条溝型胞子が僅かに検出された。このように試料によってスギ属、アカガシ亜属などの花粉化石が検出されたが、化石を十分に同定・計数することができなかったので、何れの試料においても古環境・時代などに関する解析することは困難である。