4−10 小倉断層・白新田断層

小倉断層は雲仙地溝北西部の千々石町に分布する千々石断層の派生断層と考えられる東西から西南西−東北東の走向の南落ちの断層である。一方、白新田断層は千々石町南部の山間低地内のみに分布する東北東−西南西の走向の断層で、南落ちが一般的な雲仙地溝の北部に位置する断層の中では唯一の北落ちの断層である。地理的には九千部岳T断層の派生断層とも考えられるが、落ちのセンスは南落ちの九千部岳T断層とは逆センスを示す。

USDPプロジェクトの研究の中で「雲仙地溝の活構造解析」(研究担当者 竹村恵二 京都大学大学院教授)(USDP活構造グループと呼称する)が実施されている。

このUSDP活構造グループの研究は多くの部分で長崎県雲仙活断層群調査と関連しており、USDP活構造グループ関係者と情報交換を行って調査を進めている。

平成15年度にUSDP活構造グループによって小倉断層・白新田断層のトレンチ調査を実施された。

長崎県雲仙活断層群調査においても、調査委員会委員および調査担当者がトレンチ観察の機会を得たので、調査の概要を以下に示す。本来、USDP構造解析グループによる調査結果の公表を待つべきであるが、調査グループの了承を得て本報告書に概要を記載するものである。本項の転載・引用に当っては未公表データであることに留意されたい。

小倉断層・白新田断層付近の地形区分図を図4−10−1に、両断層のトレンチ地点位置図を図4−10−2に示す。