4−10−2 白新田断層

白新田断層は古期雲仙火山後期の溶岩からなる山体に周囲を囲まれた山間低地の扇状地面を変位させている北落ちの断層である。白新田断層付近の地形を図4−10−5に示す。リニアメントは扇状地面のみに認められ、東西延長の古期雲仙火山後期の山体には変位地形は認められない。

トレンチ地点はリニアメント西方延長部の畑である。トレンチの写真を図4−10−6に示す。トレンチの概要は以下の通りである。

耕作土、ローム層の下位に、基質が風化してローム化した岩屑なだれ堆積物と思われる基盤が分布する。礫に円礫が少ないことから土石流堆積物とは考えにくい。周囲の山体の崩壊物の可能性がある。

リニアメントを横断する方向の長さ約20mのトレンチを掘削したが、基盤上面に断層を示す変位はなく、基盤内に割れ目等も認められなかったことから、少なくともトレンチ位置には断層は存在しないと推定される。