4−1−2 有喜安山岩類

唐比の西方には標高250m前後の丘陵が分布し、これらを構成する有喜安山岩類はいわゆる長崎火山岩類を構成する鮮新世〜更新世の輝石安山岩を主体とする。有喜火山岩類の年代については横瀬他(1999)によればK−Ar年代で1,63±0.09Maとされている。また宇都他(2002)では同じくK−Ar年代で1.32±0.03Maから2.42±0.05Maの年代値が得られている(図4−1−3)。

有喜安山岩類の分布及び層序に関しては、森山町による地質図(阪口、2004)が作成されている(図4−1−4)。これによれば有喜安山岩類は岩相によって、最下部の凝灰岩・凝灰角礫岩、粗粒の輝石を含む輝石安山岩、密頭複輝石角閃石安山岩、獅子喰岳複輝石安山岩(岩戸岩凝灰角礫岩に移化)、五穀岳角閃石含有複輝石安山岩、蓮華石岳角閃石複輝石安山岩、城山複輝石角閃石安山岩、金毘羅岳複輝石角閃石安山岩の8岩体に区分される。

千々石断層西方延長部の地表踏査の結果を地質図(図4−1−5)に示す。有喜安山岩類の区分・層序に関しては、阪口(2004)と岩体の分布に関して若干の違いがあるが概ね同様の結果が得られた。地表踏査により、複数の断層露頭が確認されたが、これらの多くは同一岩体中の断層であるため各断層の活動センス、変位量、長さ及び活動時期等に関しては充分な情報は得られなかった。各断層露頭について以下に示す。また露頭写真及びスケッチを図4−1−6図4−1−7図4−1−8−1図4−1−8−2図4−1−8−3に示す。