(7)断層露頭F

図4−1−8−3

諫早市有喜港の東側の海岸には凝灰角礫岩が露出しており、多数の断層、亀裂がある。断層の走向傾斜はN84W、57Sでほぼ90°の条線があり、幅約3mの破砕帯を伴う。

この凝灰角礫岩は島原半島南部に分布する口之津層群に岩相が酷似し、有喜火山岩類の下位にあることからも、口之津層群に対比される可能性が高い。このことは宇都他(2002)による有喜安山岩類の年代測定結果では、全体的に1.32〜1.68Maの年代を示す中で、有喜漁港付近で2.42±0.05Maと最も古い年代値が得られていることからも指示される。

この露頭の東側には唐比低地の西に至る西北西−東南東の直線的な崖が連続している。さらに、前面の海域には東西方向の活断層の存在が知られており、直線的な崖と断層露頭の存在から、この崖が南落ちの断層である可能性がある。

しかし、崖を構成する有喜火山岩類が鮮新統であること、第四紀に活動したことを示す証拠がないことから、本調査においては活断層としては扱わない。