(1)断層露頭@

図4−1−6

森山町井牟田上名西方の県道124号線沿いの種苗工場敷地内の法面に、有喜火山岩類の塊状安山岩と凝灰岩が接する、南傾斜の断層が確認された。

断層の北側(下盤)は風化した獅子喰岳複輝石安山岩で、南側(上盤)は風化した凝灰岩〜火山礫凝灰岩である。

安山岩と凝灰岩の境界はN46W 73Sの断層で、凝灰岩側に2m弱の間隔で2条の断層が認められる。断層に挟まれた部分は破砕されており、褐色や赤紫色に変色している。また、安山岩中にもほぼこれらと平行なN40W 90の断層が見られる。さらに、これら派生断層と見られるN55EやN80Eの走向を示す断層が認められる。

周辺の谷地形の延長方向は概ねN50Wであり、断層の走向とほぼ一致している。

安山岩と凝灰岩の境界断層の上端部では北側の安山岩上面が約1m落ち込んでおり、時代未詳の砂礫層が堆積している。断層の傾斜が南傾斜であることからこの断層は南上がりの逆断層と判断される。

一部の断層面には条線が認められ、水平から18〜30°西落ちを示す。南上がりの逆断層成分を持つこととこれらの条線方向から、本断層は左横ずれ成分をもった南上がりの逆断層と判断され、井牟田低地南縁の尾根地形を形成した活動と推定される。さらに一部の断層面には水平方向の条線も認められるが、他の断層との新旧関係は不明である。

露頭に見られる個々の断層の新旧関係は不明である。また、安山岩を覆う時代不詳の砂礫層はかなり締っており、更新世の堆積物と推定されるが時代を特定する情報はない。

この断層露頭の南には、凝灰岩と走向N70W傾斜83Sの断層で安山岩が接する。