以下に処理工程について以下に述べる。

�@　前処理

まず半湿状態の生試料を適宜採取秤量し、５０℃で１５時間乾燥させる。乾燥重量測定後、２リットルビーカー中で数回水替えしながら水洗し、そののち超音波洗浄を行う。この際、中性のヘキサメタリン酸ナトリウムの溶液を濃度１〜２％程度となるよう適宜加え、懸濁がなくなるまで洗浄水の交換を繰り返す。乾燥後、姉別時の汚染を防ぐため使い捨てのフルイ用メッシュ・クロスを用い、３段階の師別（６０、１２０、２５０ｍｅｓｈ）を行い、各段階の秤量をする。こうして得られた１２０−２５０ｍｅｓｈ（１／８−１／１６ｍ）粒径試料を比重分別処理を加えることなく、封入剤（Ｎｄ＝１．５４）を用いて岩石薄片を作成する。

�A　全鉱物組成分析

前述の封入薄片を用い、火山ガラス・軽鉱物・重鉱物・岩片・その他の５項目について、１薄片中の各粒子を無作為に２００個まで計数し、含有粒子数の量比百分率を測定する。

�B　重鉱物分析

主要重鉱物であるカンラン石（Ｏｌ）・斜方輝石（Ｏｐｘ）・単斜輝石（Ｃｐｘ）・褐色普通角閃石（ＢＨｂ）・緑色普通角閃石（ＧＨｂ）・不透明（鉄）鉱物（Ｏｐｑ）・カミングトン閃石（Ｃｕｍ）・ジルコン（Ｚｒ）・黒雲母（Ｂｔ）・アパタイト（Ａｐ）を鏡下で識別し、ポイント・カウンターを用いて無作為に２００個体を計数してその量比を百分率で示す。

なお、試料により重鉱物含有の少ないものは結果的に総数２００個に満たない場合がある。この際、一般に重鉱物含有の少ない試料は重液処理による重鉱物の濃集を行うことが多いが、特に火山ガラスに包埋された重鉱物はみかけ比重が減少するため重液処理過程で除外される危険性がある。さらに風化による比重変化や粒径の違いが分析結果に影響を与える懸念があるため、今回の分析では重液処理は行わない。

�C　火山ガラス形態分類

前処理で作成した検鏡用薄片中に含まれる火山ガラス形態を、吉川（１９７６）＊１に準拠してＨ：扁平型（Ｈａ、Ｈｂ）、Ｃ：中間型（Ｃａ、Ｃｂ）、Ｔ：多孔質型（Ｔａ、Ｔｂ）に分類する。またこれらの形態に属さないものを、Ｉｔ：不規則型として一括し示す。これらの含有率を測定するため２００個の粒子を測定する。その過程で着色したものやスコリア質のものおよび亀ノ甲型と呼ばれる特異な形態をもつ火山ガラスの有無をチェックする。さらに火山ガラスの水和現象を観察し、山下・檀原（１９９５）に基づき水和（ｈｙｄｒａｔｉｏｎ）やスーパーハイドレーション（ｓｕｐｅｒ ｈｙｄｒａｔｉｏｎ）の程度についても可能な限り半定量的に記載する。

�D　火山ガラスの屈折率測定

前処理により調製された１２０−２５０ｍｅｓｈ（１／８−１／１６ｍｍ）粒径試料を対象に、温度変化型屈折率測定装置（ＲＩＭＳ）を用い火山ガラスの屈折率を測定する。測定に際しては、精度を高めるため原則として１試料あたり３０個の火山ガラス片を測定するが、火山ガラスの含有の低い試料ではそれ以下の個数となる場合もある。

温度変化型屈折率測定法は火山ガラスと浸液の屈折率が合致した温度を測定することにより、各浸液ごとに決められた浸液温度と屈折率の換算温度から火山ガラスの屈折率を計算して求める方法である。

具体的な測定データは巻末にデータシートとして添付する。