4−1 陸域の断層の概略評価

空中写真判読結果、地表踏査、ボーリング調査等の結果から、陸域の調査結果について、方向、長さ、変位基準、平均変位速度、活動履歴等について表4−1図4−1にまとめた。表4−1における後期更新世以後の活動度は地形面の変位量から評価したものである。

断層の変位の向きは雲仙地溝の北縁の千々石断層、千本木断層、小倉断層及び、北部の九千部岳T断層、九千部岳U断層、国見岳断層が、白新田断層を除いて、全て南落ちを示す。一方、南縁部の金浜断層、諏訪池断層、高岩山断層、深江断層、布津断層、柳原断層、大苑断層は全て北落ちである。また、小浜北断層を除く中央部では鴛鴦ノ池断層、赤松谷断層が南縁部と同じく北落ちである。

後期更新世以後の活動度は、千々石断層、赤松谷断層、深江断層、布津断層の4断層がA級、諏訪池断層がC級、他の断層はB級と判断される。

地表踏査の結果から、千々石断層(分枝も含む)、九千部岳T断層、九千部岳U断層、深江断層、布津断層、柳原断層において、リニアメントに一致する位置で断層露頭ないしは断層の存在を示す露頭が確認された。

このうち、千々石断層、九千部岳T断層、九千部岳U断層、深江断層は断層露頭の観察より、最新活動時期の上限はおそらく完新世初め以後(アカホヤ火山灰以後)と判断できるデータが得られた。その他の断層では最新活動時期についての情報は得られていない。