3−5−1 音波探査結果

今回の探査記録の解釈例を図3−5−1に示す。各探査断面では、凹凸のある強い反射面が音響基盤となり、その下位の構造は認定できない。その上位には、明瞭な成層構造を示す地層が分布している。

 従来の探査結果などからみて、この凹凸のある強い反射面は、完新世の海進前の海底地形を示し、上位の成層した地層が完新世の海成層であると考えられる。また、完新統の中部付近に見られるやや強い反射面は、従来の探査ではK−Ah火山灰の降下層準に対応するとされているが、後述するように、今回のピストンコアの分析結果からも指示される。

今回は、このように成層した完新統が一部で不連続になっている地点を断層(活断層)と判断した。これらの一部ではK−Ah火山灰をはじめとする反射面の変位が下位ほど大きくなっている。これは断層活動による変位が累積していることを示すと考えられる。

一方、小浜〜金浜沖海底の北部には、このような構造が認められない地域がある。このような地域は、既往の探査でも認められており、海底の「音響散乱域」とされている。橘湾における音響散乱層の分布を図3−5−2に示す。

今回の音波探査結果について図3−5−3および図3−5−5に各海域での音波探査の航跡図を、図3−5−4−1図3−5−4−2図3−5−4−3および図3−5−6−1図3−5−6−2、図3−5−6−3に各測線での探査記録を示す。