(5)貝化石分析

コアから産出した貝化石について、その生息環境から古環境を考察した。産出した貝化石の一覧表を表3−4−6に示す。

砂層より下位の−26m以深では、ある程度外洋水の影響にある環境が考えられる。一方、砂層より上位では完全な内湾環境を示す。ただし、−11.98m〜−11.92mの粗砂層中の貝は内湾種の他に水深20m以深の環境を示すものが含まれ、前後の内湾を示す泥層と比して特異である。この粗砂層は泥層中に突然堆積していること、貝化石や有孔虫化石が破壊されているものが多いこと、深い環境に生息する貝化石が含まれること等から、津波によってもたらされたイベント堆積物である可能性も考えられる。この層準は、K−Ah火山灰の産出層準でもあり、両者の間に関係があることも考えられる。