3−1−8 リモートセンシング

近年、人工衛星画像によるリーモートセンシングが様々な分野で活用されている。この手法は、短時間で広域の調査ができること、また、撮影日の異なる複数の画像から時間変化が追跡できることが利点である。

後藤他(1988)は島原地域のLANDSAT画像解析から、夏季の海岸に河川とは直接関連しない低水温域の存在を発見した(図3−1−25、左図)。現地調査によって、この低水温域には海底から湧出する地下水が存在していることを示している。

本研究は水資源開発に関連したものであるが、海底からの地下水湧出が地下の断裂系に伴うものであるとすれば、直接観測できない海域での断裂系調査に有効であると考えられる。

また、後藤他(1999)は、1990年2月9日の阪神・淡路大震災の前後のLANDSAT夜間赤外データを解析した。その結果、災害によるライフラインのダメージや液状化によって神戸や西宮の市街地の温度が低下した中で、淡路島の野島断層沿いに線上に温度が上昇していること指摘した(図3−1−25、右図)。さらに、1994〜1995年の新潟県北部の群発地震(最大M5.5)においても、LANDSAT熱画像解析により、1994年8月に見られた線上の高温域が1995年8月には消えていることを示した(図3−1−25、右図)。

これらの解析結果から、後藤他は人工衛星データを用いて活断層を経時的に観測することによって、地震予知への可能性を指摘している。