3−1−7 考古資料

古文書記録のない歴史時代以前の雲仙活断層群の活動性を検討するため、雲仙地域に分布する考古遺跡における火山灰層の分布、特にアカホヤ火山灰(約7,300年前[暦年代]に降下堆積。)の分布状況を把握することや遺跡における地震化石(地割れや液状化跡)の記載を袖出することを目的として、遺跡の発掘調査報告書について、文献調査を行った。

長崎県遺跡地図に示された雲仙地域(森山町、愛野町、吾妻町、瑞穂町、国見町、有明町、島原市、深江町、布津町、有家町、西有家町、千々石町、小浜町、南串山町)に分布する先土器時代〜古墳時代の遺跡は307遺跡である。このうち先土器時代は27遺跡、縄文時代は165遺跡、弥生時代は97遺跡、古墳時代は103遺跡である(一部の遺跡は複数の時代に渡っている)。

これらのうち先土時代〜縄文時代の遺跡の分布を図3−1−24に示す(先土器〜縄文時代に渡る遺跡については図中では先土器時代として示した)。これらの遺跡は殆どが扇状地面上に分布する。また、古文書記録のない弥生から古墳時代の遺跡についても土層の食い違いや噴砂・液状化等の地震活動の証拠の有無を調査するために文献調査の対象に含めた。

これらの遺跡の遺跡調査(発掘)報告書を収集し、記載内容の検討を行った。また、報告書未公表の遺跡に関しても、各市町村の調査担当者から聞き取り調査を行った。

収集した報告書は57遺跡である。(調査担当者からの聞き取り情報も含む)。

調査報告書に火山灰層の存在の記載のあるもの、特にアカホヤ火山灰の記載のあるものを表3−1−5−1表3−1−5−2表3−1−6−1表3−1−6−2表3−1−6−3表3−1−6−4表3−1−6−5および図3−1−24に示す。今回調査した範囲では、火山灰層の記載のあるもの38遺跡、そのうちアカホヤ火山灰の記載のあるもの14遺跡であった。なお、地震化石(地割れや液状化跡)の記載のある遺跡は無かった。

調査結果から、火山灰層は島原半島全域に分布しているが、これらは黒ボク層やローム層を火山灰層あるいは火山灰質土と記載されているものも含んでいる。アカホヤ火山灰は島原半島北東部(国見町〜有明町)にかけて分布の記載がある。

雲仙地域では発掘調査が実施されてない遺跡も多く、今回得られた結果からは、断層が多数分布する島原半島南東部の情報はあまり得られなかった。