(4)雲仙地域の測地学データ

江頭他(1987)は島原半島東部海岸部で、有明町から布津町に至る水準測量を実施し、1958〜1987年の28年間に最大97.1mmの沈降を観測した。この水準点は1894年の水準測量データからは208.1mm沈下している。雲仙地溝における平均沈下量は約2.3mm/年の沈下であり、過去100年間の沈降速度は2〜3mm/年とほぼ一定である(図3−1−17、上図)。

一方、国土地理院(1991)によれば、島原半島西岸の愛野町から南串山町に至る測線では、千々石断層崖直下で約1cm/年の沈下が観測されているがそれ以外には大きな変化は認められず、千々石断層付近の変動は水準点の設置環境による局地的なものとされている。(図3−1−17、下図)。