(2)重力探査

小室他(2000)は島原半島陸上部の重力観測と、島原湾および橘湾の地質調査所の重力観測データをまとめて、雲仙火山地域の重力異常図をまとめている(図3−1−14)。

雲仙火山地域では雲仙地溝に沿って低重力異常の帯が認められ、特に橘湾では海岸線と略平行な強い低重力異常の目玉がある。太田(1973)はこの低重力異常と円形に近い橘湾の地形から「千々石カルデラ」と命名している。

雲仙地溝の北縁をなす千々石断層沿いに重力異常が急勾配となっている。小室他は新期堆積物に覆われて地上では不明瞭となっている千々石断層の東方延長部の存在を示すとしている。一方、雲仙地溝の南縁をなす金浜断層−布津断層沿いには重力異常は認められない。したがって、雲仙地溝の南縁をなす断層は北縁の千々石断層より落差が小さい可能性を指摘している。島原湾側では水無川河口の南東沖に低重力異常が認められる。