(2)雲仙火山

雲仙火山の層序は多くの研究者により火山層序の検討や岩石学的研究が成されてきた。近年では、詳細な年代測定データと地質調査により星住・渡辺(1995)が雲仙火山地質図としてまとめている(図3−1−10)。

一方、1990年から5年間続いた雲仙普賢岳の火山活動に伴い、地球物理学、地質学、地球科学、測地学など多方面の詳細な研究が進められたが、火山活動に関する統一的モデルの構築のため実際に火山体を掘削する計画が立案された。これは「雲仙科学掘削プロジェクト」と呼ばれ、平成11年(1999年)から始まり、既に山麓掘削として2本のボーリング(USDP−1、深度750m:USDP−2、深度1462.6m)が実施され、現在(平成15年3月現在)は火道掘削ボーリングが開始されている。このプロジェクトに関連して、雲仙火山に関する研究が多く発表されている。

雲仙火山の層序に関しては、地質調査に加えて、年代測定結果から詳細な活動史が明らかになってきた。雲仙火山に関する年代測定のうちカリウムアルゴン法、フィッショントラック法、放射性炭素法の主なものを表3−1−3に示した。一方、雲仙火山では表3−1−4に示したように熱ルミネッセンス年代測定値も数多く測定されているが、バックグラウンドの放射量の見積りの見直しにより、同じ試料の年代値が論文ごとに異なり、さらに、同時代と考えられる火山岩体内でもばらつきが大きい。したがって、本調査においては基本的に星住らの年代値を用いた。

星住・宇都らは地表踏査や年代測定値およびボーリング試料の検討から雲仙火山の形成史を明らかにし(図3−1−11)、島原半島の地質図を示している(図3−1−12)。この地質図には表3−1−3表3−1−4に示した年代測定値をあわせて示した。