3−1−2 地形面区分とテフラの関係

活断層の活動性を評価する際に変位基準面となる地形面について、地形面区分および各地形面の形成時代の決定に有効なテフラ層序について文献調査を行った。

雲仙地域における既往の地形面区分として、千田(1979)、堤(1987)、国土地理院(1991)、長岡(1995)等がある。これらの地形区分を図3−1−7に示す。

これらの既往地形面区分のうち、千田、堤および国土地理院による地形区分は基本的に同じである。一方、長岡(1995)は雲仙北麓地域に分布するテフラの詳細な検討から23枚のテフラを認定し、これらと地形面構成層との層序関係から詳細な地形面区分を行った(図3−1−8)。その結果、それまでの中位扇状地面を3つ(瑞穂面・山ノ上面・愛野面)に細分するとともに、従来、低位扇状地T面とされていた面の一部が完新世に形成されたものとした(多比良面)。さらにテフラの年代測定データから各地形面の形成年代を検討し、雲仙北麓地域の扇状地面群が、25万年前〜10数万年前に形成された古期扇状地面群と、10万年前以降に形成された新期扇状地面群に2分されることを示した。

既往文献における各地形区分の対比を表3−1−2に示す。