2−2−4 金浜断層・高岩山断層・布津断層

これらの断層は、地溝のほぼ南縁を区切っている。このうち、金浜断層のみは、走向が北東−南西であり、ほかの2つと異なっている。この断層の西方延長部の橘湾内には、活動性の高い断層が存在するとされている。しかしながら、この断層については、金浜川が断層谷として認定されているものの、河川による浸食が著しいため、地形的に活動性を評価したり、詳細調査地点を選定することは困難と考えられた(文献に示された確実度はV)。したがって、調査にあたっては、新しい時代の断層活動が隠されている可能性を考慮しつつ、地表踏査に重点をおき、空中写真では認定が困難な微小な地形や地質分布を把握し、断層評価につなげていく必要があると考えられた。

高岩山と布津の両断層については、深江断層と同様に、約5万年前に形成された中位扇状地面を変位させている。深江断層と同様に、このような変位地形の延長部で、海成粘土や旧表土などの変位マーカーとなりうる地層が分布している可能性のある地域(東海岸付近の沖積低地面など)に調査の重点をおいた。また、一部では扇状地の傾斜に対して逆向きの変位を与えているので、このような断層変位で生じた可能性のある凹地などにも着目した。