(3)調査の重点及び効果的な調査

本調査は、長良川上流断層帯の活動履歴を明らかにして、活動周期と長期的な活動予測を行い、地震・防災上の基礎資料を提供するために、

@断層の位置の特定

A断層の活動履歴と活動度の把握

を行うことを目的としている。

そのためには、長良川上流断層帯を構成する各断層の存在・分布を地形学的根拠・地質学的根拠から明らかにし、断層線を覆って分布する更新世後期の堆積物の変位・変形状況を把握することが効果的な調査であると考えられる。

その第一歩として、既存資料の収集時に新編日本の活断層(活断層研究会(1991))を携帯しての現地予察を行った。

この結果、大野断層については断層線推定位置の北方にこれを横断する方向で東海北陸自動車道の切り土法面が建設中であり、法面の詳細観察を行えば活動性評価まで行える可能性が高いこと,また、大野断層・那留断層については、平成7年度白鳥町活断層報告書の存在が明らかになり、種々の調査が行われていることが判明し、調査精度や結果の評価が行えれば活動性評価まで行える可能性が高いことが判明した。

八幡断層やその北方の二日町断層については、断層の分布や活動性評価に有効な既存資料が存在しないことが判明した。

以上の事実から判断して、八幡断層及びその北方の二日町断層については、広域的な地質構造把握・断層変位地形の抽出・断層帯の連続性の把握・具体的調査候補地の抽出を主眼に、既往文献の調査・空中写真判読・地質概査を行うこととした。大野断層・那留断層については、これに加え東海北陸自動車道の切り土法面の詳細観察・平成7年度白鳥町活断層報告書の検証を行うことが効果的であると考えられた。

これらの成果で、さらに不明な点については次の段階として、物理探査やボーリング調査等具体的な調査を行うこととした。