(4)菅生田トレンチ追加掘削部状況

本調査では,用地の制約上,トレンチ東側の町道際での掘削が不可能であった。しかし,埋め戻し後には町道際の掘削が可能になったため,追加掘削を行った。追加掘削の結果,礫層2を切る断層を確認した。特に,南面では断層履歴を検討する上で有効な地質状況が確認されたため,詳細な地質観察を実施し,縮尺1/20のスケッチ及び写真にとりまとめた(図4−1−10写真4−1−17)。

以下に追加掘削部の地質及び断層の概要を記述する。

・断層は礫層2中に連続し,上方では礫層2と上位層の礫混じり腐植質粘土層1が接し,逆断層の形態を示す。なお,断層面は上部で2条に分岐している。

・断層の上盤には礫層2が分布し,同礫層中には礫混じり砂層が挟在する。また,礫層2を覆って腐植質砂礫層が分布するが,同層と断層とは接していないため,変位の有無は不明であるが,同層の基底はほぼ水平であり,変形の痕跡は認められない。このことは,同層が主トレンチ部において強振現象を受けた礫混じり砂層を不整合に覆い,層内に強振現象や変位が認められないことと調和している。

・断層の下盤には,下位より礫層2,礫混じり腐植質粘土層1及び腐植質砂層が分布する。また,断層を含め,これらの地層を礫混じり腐植質粘土が不整合に被覆する。

・断層の上盤では,礫層2中の礫が断層沿いに再配列した現象が認められる。また,礫層2最上部の腐植質な部分が,逆断層運動に伴って下方へ引きずられた現象が認められる。

・断層の下盤では,礫層2及びその上位層である礫混じり腐植質粘土層1中の礫が,逆断層運動に伴って上方へ引きずられている。また,断層の近傍では,礫の長軸が断層面にほぼ平行している。一方,腐植質砂層は断層と接していないが,同層基底付近に集積する礫の長軸配列から,同層が断層運動に伴って引きずりあげられているものと判断される。

図4−1−10

写真4−1−17