(2)菅生田トレンチ北法面状況

菅生田トレンチの北面については,全体の観察結果を図4−1−5に示す縮尺1/50スケッチにとりまとめ,断層部周辺を詳細に観察した結果を図4−1−6に示す縮尺1/20スケッチにとりまとめた。また,同面の状況を写真4−1−3に示し,細部の写真は写真4−1−4写真4−1−5写真4−1−6写真4−1−7写真4−1−8写真4−1−9写真4−1−10写真4−1−11写真4−1−12−1写真4−1−12−2に示す。

トレンチ北側面で確認された断層部及び周縁部の観察結果の概要を以下に記述する。なお,地質構成については前項で記述したとおりである。

@N6付近で確認された高角度断層

断層の走向傾斜はN11゚E,61゚Wを示し,幅3〜4cmのシルト〜粘土状部及び幅2〜6cmの礫混じり砂質シルト状部を伴う。断層を境に,明戸層,礫層1及び礫層2の最下部が接する。地質の分布状況からは逆断層であると判断され,トレンチ内で確認される限りでは,変位量は40cm以上である。なお,本断層を境として,礫層2の基底面に約10cm段差があり,断層破砕部と接する礫は直立しているものが多いことから,礫層2堆積後にわずかながら変位が生じた可能性がある(図4−1−6写真4−1−4写真4−1−5写真4−1−6写真4−1−7写真4−1−8)。

AN5付近で確認された高角度断層

断層の走向傾斜はN10゚E,68゚Wを示し,幅2〜3cmの礫混じり粘土状部を伴う。断層を境に,明戸層泥岩と明戸層砂岩が接する。また,断層上端では礫層2の基底面に約5cmの段差があり,礫混じり粘土状断層破砕部と礫層2とが接する。断層面の走向・傾斜や変位の向きが同じことから,上述@で確認された断層の副次断層であると判断される。(写真4−1−9写真4−1−10

BN−14〜N−18付近で確認された礫混じり砂層の構造

礫層2の上部に分布する礫混じり砂層は,標尺N−14〜N−18付近で腐植質シルト層や砂層に撓みや異常傾斜・擾乱構造などが認められた。礫混じり砂層中に認められた

堆積構造の異常から,地震などによる強振現象を受けた可能性が推定される。(図4−1−7写真4−1−11写真4−1−12−1写真4−1−12−2

図4−1−5

写真4−1−3

図4−1−6 白石断層菅生田地区トレンチ北面

写真4−1−4写真4−1−5

写真4−1−6写真4−1−7写真4−1−8

写真4−1−9写真4−1−10

図4−1−7 白石断層 菅生田地区トレンチ北面

写真4−1−11写真4−1−12−1写真4−1−12−2